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新型コロナウイルス COVID-19 治療薬・ワクチンの開発動向をまとめてみました。

シニアな日々・ひとりごと
oldtakasuさんによる写真ACからの写真

世界各地で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症「COVID-19」。治療薬やワクチンの開発を世界中が待ち望んでいます。 新型コロナウイルス感染拡大が続くなか、世界中で治療薬開発が急ピッチで進んでいるようです。製薬会社は既存薬を転用することで開発期間を短くし、早期の市場投入を目指しています。回復した患者の血液成分を使った治療法も試されています。また迅速な審査や承認を可能にする仕組みを作ることも重要です。

とりあえずの開発動向をまとめました。 4月21日現在のまとめ。

治療薬

国内でもこれらの薬剤の投与がアカデミアによる観察研究や臨床研究として行われています。一部の薬剤については企業による臨床試験が始まっています。

レムデシビル(米ギリアド社)

米医薬大手ギリアド・サイエンシズの新型コロナウイルス治療薬候補「レムデシビル」の投与が、重症患者の急速な回復につながったとのリポートが米医療関連ニュースサイトに掲載されています。 4月10日には、米医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で、人道的使用プログラムでレムデシビルの投与を受けた患者53人のデータを発表し小規模で限定的なデータながら患者の68%が臨床的改善を示しているようです。

レムデシビルはエボラ出血熱の治療薬として開発されていた抗ウイルス薬。COVID-19の治療薬として最も有望視されている薬剤の1つです。

また、ギリアド社が日本を含む世界各国で臨床試験を実施中。試験は、重症患者を対象とする試験と中等症患者対象の試験で、日本でも4月14日から患者への投与が始まりました。重症患者対象の試験結果は4月中に、中等症患者対象の試験の結果は5月に得られる予定です。

アビガン  ファビピラビル(富士フイルム富山化学)

アビガンは最近、よく投与の話を聞くようになりました。既に臨床研究や観察研究の枠組みの中でCOVID-19患者に対する「アビガン」投与が開始されています。藤田医科大学の土井洋平教授は、抗インフルエンザ薬「アビガン」を治療に使った200の医療機関からの報告について発表。投与した患者は300人で、2週間後、症状の改善が見られたのは軽症と中等症の患者で9割、人工呼吸器を使用するなど重症の患者で6割だったということです。

「アビガン」は、既に国内では抗インフルエンザウイルス薬として製造販売承認を取得している薬剤で、ウイルスのRNAポリメラーゼを選択的に阻害することでウイルスの増殖を防ぐというメカニズムを有しています。

ただし、動物実験で催奇形性が確認されているため、妊婦や妊娠している可能性がある人には使うことができないようです。

オルベスコ   シクレソニド(帝人ファーマ)

シクレソニドは、日本では2007年に気管支喘息治療薬として承認された吸入ステロイド薬。国立感染症研究所による実験で強いウイルス活性を持つことが示され、実際に患者に投与したところ肺炎が改善した症例も報告されています。

国内では日本感染症学会が主導する観察研究が行われており、全国の医療機関から報告を集めて有効性の評価を進めています。帝人ファーマは厚生労働省からの要請を受け、この研究のためにシクレソニドの供給体制を確保。国立国際医療研究センターも臨床研究を計画しています。

カレトラ   ロピナビル/リトナビル配合剤(米アッヴィ)

ピナビルはウイルスの増殖を抑えるプロテアーゼ阻害薬で、リトナビルはその血中濃度を保ち、効果を増強する役割を果たします。

これらの配合剤であるカレトラは、日本では2000年にHIV感染症に対する治療薬として承認されています。

抗IL-6受容体抗体  JAK阻害薬

サイトカインストーム(過剰な免疫反応)を抑制することで重篤な呼吸障害を改善する効果を期待して、新型コロナウイルスによる重症肺炎を対象に、免疫を抑える薬剤の開発が進められています。

スイス・ロシュは4月から、中外製薬が創製した抗IL-6受容体抗体トシリズマブ(アクテムラ)のP3試験を開始。中外製薬も国内でP3試験を始める予定。米リジェネロン・ファーマシューティカルズと仏サノフィも、共同開発した抗IL-6受容体抗体サリルマブ(ケブザラ)のP2/3試験を欧米で実施中。日本でも近く試験が始まる見通しです。両剤は日本で主に関節リウマチの治療薬として使われています。

スイス・ノバルティスは4月2日、サイトカインストームを伴うCOVID-19患者を対象に、JAK阻害薬ルキソリチニブ/ジャカビ のP3試験を準備していることを公表。日本では骨髄線維症と真性多血症の適応で承認されています。JAK阻害薬では、トファシチニブ(米ファイザーのゼルヤンツ)もイタリアで医師主導のP2試験が行われているほか、バリシチニブ(米イーライリリーのオルミエント)も臨床試験を始める予定です。

その他の動向

◍中国政府は抗マラリア薬リン酸クロロキンがCOVID-19に一定の効果を示したと発表、日本でも類似したヒドロキシクロロキンを投与して症状が改善した症例が報告。

◍群馬大では、ロピナビル、リトナビル、ヒドロキシクロロキンの3剤併用療法の臨床研究が始まっています。

◍東京大医科学研究所は、ナファモスタットがCOVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2の細胞内への侵入を阻止する可能性があるとの実験結果を発表。臨床研究を始めるとのことです。

◍米メディシノバは、多発性硬化症などを対象に開発中のイブジラストについて、米イェール大と共同でCOVID-19による急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を対象とした臨床試験を開始。

◍米アサシスとヘリオスは体性幹細胞を使ったCOVID-19由来ARDSの臨床試験を日本と米国で行っています。

◍武田薬品工業は4月6日、原因ウイルスSARS-CoV-2に対する高度免疫グロブリン製剤の開発で、米CSLベーリングなど5社と提携すると発表。3月初めに抗SARS-CoV-2高度免疫グロブリン製剤「TAK-888」の開発に着手、6社の協力体制で開発を加速させ、供給量を増やしたいとのことです。

◍リジェネロンはSARS-CoV-2に対する多数の抗体を特定し、このうち2つを混合したカクテル抗体の臨床試験を初夏までに始める方針。

◍米ビル・バイオテクノロジーは2つの抗体を特定し、中国での権利を上海のウーシー・バイオロジクスに導出。米アルナイラム・ファーマシューティカルズと共同でSARS-CoV-2を標的とするsiRNA核酸医薬も開発中。

◍米アブセラ・バイオロジクスはイーライリリーと治療用・予防用の抗体を共同で開発しています。

◍ファイザーはSARS-CoV-2に対する抗ウイルス活性を示すプロテアーゼ阻害薬候補を特定しており、今年7~9月期にも臨床試験を始める予定。

◍塩野義製薬は北海道大との共同研究でCOVID-19に対する抗ウイルス薬の候補を特定。今年度中の臨床試験開始を目指して研究を進めています。

◍米国立衛生研究所(NIH)内の国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)と米バイオベンチャーのモデルナが協力して開発したmRNAワクチン「mRNA-1273」のP1試験を始めたと発表。

◍米イノビオ・ファーマシューティカルズも4月6日、DNAワクチン「INO-4800」のP1試験を米国で開始したことを明らかにしました。試験は、健康成人40人に4週間隔で2回ワクチンを投与するもので、今夏の終わりまでにデータが出る見込みです。

◍ノルウェーに本部を置く「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)」が、米イノビオ、モデルナNIADI、英オックスフォード大、米ピッツバーグ大他多くとパートナーシップを締結。資金提供を行い、ワクチン開発を支援しています。

◍ノババックスは自社開発したナノ粒子ワクチンのP1試験を今年の晩春に始めるとしています

◍英グラクソ・スミスクライン(GSK)は、アジュバント技術の提供でCEPIの開発プログラムに協力。中国のクローバー・バイオファーマシューティカルズとも研究協力に合意しました。クローバーにもアジュバント技術を提供し、ワクチンの大量生産をサポートする予定です。

◍米ファイザーと独ビオンテックはCOVID-19に対するmRNAワクチン「BNT162」を共同で開発しており、4月末までに欧米で臨床試験を始める予定。両社は製造能力の拡大も進めており、今年末までに数百万回分のワクチンを供給できる可能性があるとの見通しを示しています。

◍米ジョンソン・エンド・ジョンソンは9月までにP1試験を始める予定です。

◍仏サノフィはCOVID-19ワクチンの開発で組み換えタンパク質をメースとするワクチンの開発に着手、3月下旬には米トランスレート・バイオとmRNAワクチンの開発に向けた提携を発表。

◍4月14日には、サノフィとGSKがCOVID-19ワクチンの開発で提携したと発表しました。サノフィの組換えDNA技術に基づくSタンパク質抗原とGSKのアジュバントを組み合わせ、今年後半にP1試験を開始する予定。

◍アンジェスが3月5日、大阪大とDNAワクチンを共同で開発すると発表しました。タカラバイオが製造面で協力し、化学大手のダイセルが有効性を高めるための新規投与デバイス技術を提供。アンジェスは6カ月以内のできる限り早い時期の臨床試験開始を目指すとしています。

◍田辺三菱製薬はワクチン開発に乗り出しカナダの子会社メディカゴが、SARS-CoV-2の植物由来ウイルス様粒子(VLP)の作製に成功したと発表。これを使ったCOVID-19向けワクチンの非臨床試験を行っています。

◍アイロムグループのIDファーマは、中国・復旦大付属上海公衆衛生臨床センターとワクチンの共同開発で合意。両者はセンダイウイルスベクターを使った結核ワクチンを共同開発しており、経験を生かして新型コロナウイルスに対するワクチンの開発を目指すとのことです。

早期に治療薬、ワクチンが開発されることを切に願うばかりです。

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